恋の味

まず、俺は和恋を見て照れるが、にこは俺を見ててれたことはない。


俺が照れると逆にからかう側が、にこだから。


ということは、顔が赤いのは少々疲れたからか…熱があるかだと安易に推測できる。


和恋を拭きながらなんとなく額に手を当ててみる。


うん。


熱くない。


勘違いだったかな?


「いけるみんな?」という春風の言葉に、にこは少し顔を歪めた。


そして、無理をしてぎこちない笑顔を春風に向ける。


和恋は、いつでも笑う。


辛くたって悲しくたって、苦しくたって笑う。


でも、幼馴染の俺にはわかる。


場面によって、多少笑顔の種類が異なるから。


俺は会話があまり得意じゃないから、ほぼ無口。


そのかわり、空気を読んだり人の表情を読んだりするのは他の奴よりちょっとばかし自信がある。


今回の笑顔は辛そうだった。