恋の味

雨の中走る時、何度かにこは足を滑らせていた。


その度に俺が受け止める。


その度に、にこは俺に毎回忘れずありがとうと繰り返す。


なんとか雨宿りできるところについた俺たちは、拭けるところは拭いておいた。


通り雨だから、すぐ晴れる。


濡れてると、湿気で体力を奪われるからな。


俺の頭が濡れてる心配をしてきたにこは、体全体が濡れていた。


にこは小さいから、一番被害から大きかったみたい。


「拭いてやるから。」


そう、俺が言うのにどれだけの理性を使ったと思ってるのか…。


多分、にこには絶対、永遠にわからないだろう。


「ありがとう。」


嬉しそうに笑う和恋を見たら、心拍数が上がった。


でも、それより気になったのはにこの顔。


どこか…赤い?