恋の味

「ついたついた。私達の母校の中学校!」


「ほぇ〜。ここがこうきくんとももちゃんの中学校か。」


「正確には通ってただけどね。」なーんてりっくんの突っ込みは聞こえないふり。


「お昼は昇降口だって。」


始まった時より重くなった足をなんとかあげて昇降口についた。


「せっかくだし、みんなで食べよ。」


にこの提案に、ももちゃんはもちろん、光輝くんもりっくんも乗ってくれた。


「いただきます!」


「いただきます!」


「いっただっきまーす!」


「…いただきます。」


元気な掛け声とともにお昼を食べ始める。


頑張った後だから、おにぎりがとっても美味しい。


それに、みんなと一緒だから。


「思ってたより辛いね、この行事は。」


これはももちゃん。


「うーんそうか?ま、思ったよりは暑かったなぁ。いまは雲行きがあやしいけど。」


これは、光輝くん。


「雨降りそうだよな。俺たち傘持ってないし…困ったなぁ。」


これはもちろんりっくん。


なんか、会話の途切れない食卓っていいよねぇ。


なんか落ち着く。


「?にこどうしたの?いつもよりにこにこだけど…」


「確かに。いつも笑ってるけど、今は気持ち悪い笑い方…」


ほえ!


「き、気持ち悪いってどういうことよ光輝くん!にこは、こうやってみんなと食べるのが楽しいの。」


「確かになぁ。」


「それはそうだな。おれんちは落ち着いて食べられないから。姉貴がうるさくって。」


あ、光輝くんってお姉さんいるんだ。


「あーわかるー。私のうちも弟たちがわーわー、わーわー。大変よね?」


ももちゃんの家に弟がいるのは聞いたことがある。


というかあったこともある。


双子さんで、とっても似てるんだよ。


やんちゃくんと大人しめなこの不思議なこんびだったけどねぇ。


「俺のうちもそうだなあ。」