恋の味

にこより全然、ももちゃんの方が可愛いんだけど…。


すっきりまとまった髪も。


整った顔立ちも。


薄いピンク色に染まった頬も。


何もかもにこより可愛いから、


「にこよりももちゃんのが可愛いよ?」


ももちゃんは、ちょっと悩んでから言った。


悩む姿もかっこいい!


女の子もにこでもそう思うなぁ。


「えっとね、私は、男の子みたいにさっぱりしてて、あんまり女の子として見られなかったのよね。」





「女子の友達にも、可愛いって言われたことあんまりないし、お世辞で言う人がほとんどだしさぁ。かっこいいの方が多いくらいよ?」


う…ごめんももちゃん。


今かっこいいって思ってました。


「にこみたいに、ちっちゃくて守ってあげたくなる要素が私にはないの。あーあ、本当ににこが羨ましいなぁ。」


…すごいなももちゃん。


羨ましいとか、私にはないとか、はっきり言えるんだもん。


だから、ももちゃんは誰からも好かれるんだね。


ももちゃんは、絶対女の子とこじれた関係にはならないだろうなぁ。


ももちゃんは、誰かの真似をしたいときも、その人にちゃんというし、なんてったって、相手のいいところを伝えるの。


言葉にして伝えるの。


ももちゃんのこと、かっこいいって言っちゃうのわかるよにこ。


「ももちゃんは、かっこいい。かっこよくて、可愛い。」


思わず俯いちゃう。


にこはあんまり、口に出すのが得意じゃないから。


だって恥ずかしいもん。


「えーっと、まずにこは可愛くない。それは言っとくね。褒めてくれたのは嬉しかったけど…。」


うん、にこは可愛くなる努力もしてないし、可愛くなる理由も今の所ないから。


「ちょっとまって!かっこよくて可愛いって矛盾してない?」


「してないよ!」