歩け×2〜32㎞の前日は、当日朝が早いから5時間目までやって帰るの。


その日の5時間目は、歩け×2〜32㎞の最終確認になったみたい。


当日のお昼をもらえる引換券のついた地図が配られる。


「にこ、地図読めない。」


「あ、大丈夫だよ。私そういうの得意だから。道に迷ったらその時はその時よ。」


そういえるももちゃんはすごいなぁ。


地図を読むなんてぜんっぜんだめなんだ、にこ。


「りっくんは地図読める?」


「読めるか読めないかでは読める。けど、あんまり自信ないな。」


知的なイメージがあるりっくん。


りっくんは本当に頭がいいんだよ。


にこは馬鹿だけど。


「にこは馬鹿なんじゃなくて天然なの。」


よくももちゃんに言われちゃうんだ。


「目標時間とかあるよにこ。」


「え、なんですと⁉︎」


「にこ時々古いよ…」


「でも、俺らの目標は完歩なわけだろ?時間って言われてもなぁ。」


整った黒いストレートの髪を、りっくんがかく。


悩んでる姿もかっこいい!
なんて声もあちこちから上がってるの。


りっくんは人気者だねぇ。


「六時に歩き始めて、終わりの予定が16時だから、早くで…」


えっと、1…2…3…。


「10時間!」


りっくんとももちゃんがふぅ、とため息。


にこがなにかしたのかな?


「おめでとう和恋くん。やっと数えられたね。」


「ちなみにだけどにこ。6時から12時で6時間。そこから4時間だから、6+4で10だぞ?」


数える方がにこは早かったんだもん。


「お昼は?」


りっくんが指でコースをなぞってる。


「うーん…だいたい中間よりちょっと遠いから、12時ぐらいじゃないか?」


「やっぱり、早くてそのくらいだよね。」


ふたりともにこにあわせてくれてるのかな?


りっくんは高順位狙えるだろうし、きっと、ももちゃんの体力がないっていうのは、私と歩くための口実にしてくれたんじゃないのかな?