恋の味

にこは、このクラスのマスコットキャラクター。


らしい。


理由は小ちゃいから。


「ふにゅっ!」


席につこうとしたら、誰かにぶつかっちゃった。


にこは小ちゃいから見えないんだって。


えへへ、今日は勢いよすぎて、体勢崩しちゃった。


あー、しりもちついちゃう。


「…危ないだろ!」


床に着く前に、ボフッと何かに支えられた。


目を開けて、それを見る。


いつの間にか眼をつぶってたみたい。


「あ、りっく〜ん♪」


りっくんの長い腕がにこを支えてた。


ゆっくりと立たせてくれる。


「ありがと。」


「ごめんにこちゃん!俺周り見てなくて!」


ぶつかっちゃった男の子が謝ってくれちゃった。


「違うの!にこが小ちゃいのが悪いから、謝らないで!」


小ちゃいから見えないの。


みんなは悪くないよ?


にこが悪いんだもん。


小ちゃいから。


「でも、ごめんにこちゃん。」


「ううん。大丈夫。」


にこはいつもニコニコだから、今もニコニコ。


やっと男の子がどっかに行ってくれた。


「ありがとうりっくん♪」


「いいけど、気をつけろよ。」


頭を撫でられる。


「はーい。ごめんなさーい。気をつけますっ!」


右手をおーきくあげてから、敬礼した。