あれは、3年の先輩だな。

校内で口説いてんじゃねぇよ。

「お。君も可愛いーね。君の方がタイプかも」

そう言いながら桃に近づいていくヤツ。

桃が可愛いのは知ってる。

だから、俺はー…。

「っ…い、やっ…!」

桃の悲鳴がする。

助けに行こうとしたがひと足遅く。

ーガツッ!

「ゔっ…」

は…?

動きが速すぎて見えんかったけど!?

「女に手ェ出すなんて、100年早いんだよ」

そういうー…

「あの子、確か…」

桃の前に絡まれてた子で。

俺のクラスメート。

かっけぇ…。

そう思ったけど。

「う、後ろっ…!」

桃の焦ったような声で我に返り、“そこ”を見る。

あんの、クソ野郎っ…!!

そう思った瞬間だった。

「受験生なのに、暴行事件、起こしたいですか?」

そう、桃の目の前に立って言う俺がいたー…。