「もーもー!起きてるー???」

「おーきーてーるーよー!!!」

このやり取り、1ヶ月前もしたなぁ…。

ドレッサーの前に映る自分。

少しだけメイクしてみたり。

胸辺りまである、栗色の髪をゆるく巻いてみたり。

「うん。女子校生だ」

くるくるーっと回って、再確認。

ーガチャッ

「お!桃、可愛いじゃん!」

「星お姉ちゃん!びっくりしたんだけどっ!?」

「ごめん、ごめん」

はぁ…23歳になってもシスコンなのはやめてほしい…。

「もう、桃。いつまでカーテン閉めてんの」

ーシャーッ

「っ…!!!!!」

……閉めてるんじゃなくて。

開けないようにしてるんだよ。

だって、隣は。

浅井家だから。

希斗と希夜のこと、忘れたいの。

なによりも希斗のこと。

「桃?どした?」

お姉ちゃんにそう言われ、ハッとなる。

「んーん。なんでもない。行ってきます」

そう言って、学校へと向かった。