私、死神に魂を売っちゃいました。

リクはストンッとツバサを抱えて降り立った。
ツバサは気を失っている。

ーーバカなやつ。

そう思った。
しかし、リクはツバサを見てから、何かの既視感を覚えていた。

ーーこいつを見たことあるような……?

この茶色掛かった髪。右側で結んで上にあげている髪型。濃い焦げ茶の瞳。
どこかで見たことがあるような気がした。

ザッザッ………。

砂を踏み締める音が後ろから聞こえてくる。

「リクよ。彼女、ツバサちゃんは連れてきたかの?」
「ああ、ジジイの要望通りに連れてきたぜ。これでいいんだろ?」

リクはおじいさん……、いや大死神のいる方向に振り向いた。
大死神は全ての死神を統一する、いわば王のような存在だ。その存在をジジイ呼ばりしているのはリクだけだ。なぜならリクは大死神の孫に当たるからだ。

「おお、ツバサちゃんじゃ!懐かしいのぉ、こんな大きくなって……」
「……おい、ジジイ、こいつを知っているのか?」

疑問に思っていたことをぶつける。
大死神はさも当然のように言った。

「知ってるぞ。ツバサちゃんが小さい頃からな。……またそのことはツバサちゃんが起きている時に話すぞ、今は話せん」
「……分かった」

思わせぶりが入っていたが、従うことしかないのだ。

「……んっ……」
「お、起きたか」

微かに声を上げたツバサ。
リクは、はぁと息を着いてツバサを地面に投げ捨てた。

「うぁあッ!!」

悲鳴をあげて地面に倒れ込むツバサ。
大死神がリクに注意する。

「こらっ!女の子になんてことするんじゃ!大切にしてあげんか!!」
「痛ぁ……」

大死神がツバサに手を差し伸べる。

「あっ、すいません……」

ツバサは手を借りて立ち上がる。
そしてあたりをキョロキョロ見回しているようだ。

「ここ、は……?」
「ここは死後の世界だ。死んだら1回はここに来ないと駄目なところだな」

リクが手早く言った。まだ少し理解できていないツバサはフリーズしている。

「よし、二人とも大丈夫なようだし、わしについてきてくれるかの」
「え、どこへ…?あなたは……?」

まだ混乱しているようだ。
大死神はツバサに笑いかけながら言った。

「わしはこの死後の世界の長をしているものじゃ。大死神様と呼ばれておる」
「あっ、そうですか……。…私に何か用があるんですか?」
「あぁ、その話は移動してからにしよう。取り敢えずわしについてきてくれ。リクも来ないと駄目だからな」
「へーい、分かった…」

そう話して、二人は大死神に連れられて部屋へ入った。