ーーん、ここは……?

ツバサは目を覚ました。
どこか知らないところにいる。
あたりを見回すと、どうやらここは葬儀場のようだ。
誰かが泣く声が聞こえる。

「うっ……、うぅっ……!ツバサ、ツバサぁ!!」

ーーこの声は友達の声!

「私はここにいるよ!!」

そう言いながら、友達へ近寄り、体を触ろうとする。
しかし、自分の手が友達の体をすり抜けた。

ーーえっ……!?なんで……!

何度何度も体を触ろうとする。
何度何度もすり抜ける。
第一、さっき声を出していたはずなのに、誰も気付いてくれなかった。

ーーも、もしかして……。

ツバサは歩いて、誰かが眠っているであろう棺桶を覗いた。顔が見えるようにガラスの窓が着いているもののようだ。

そこには、私ーー、ツバサがいた。

呆然とする。そして呟く。

「私、死んじゃった……?」
「ああそうだよ、お前は死んだ」

呟きが誰かに返される。

「……!?あなたは誰……」
「俺はリク。死神だ」
「しっ……、死神っ………!?」

ツバサは驚いて後ろを振り向く。そこには自分と同い年ぐらいの男の子が立っていた。そのリクと名乗った死神は短い漆黒の黒髪、釣り目で青い瞳だった。すごくかっこいい男の子。夏だといのにパーカーを着込み、見ているこっちが暑くなって来そうだ。しかし、彼が死神だと言うことを知らしめるものが一つあった。大鎌を持っているのだ。彼の身長とほぼ同じくらいの。

ーーほんとに死神なんているんだ……。私も幽霊みたいなものだから言えないけど……。でも、どこかで見たことあるような……?

何かの不思議な違和感を覚える。
しかし、こんな自分の前に来るのだから何か用件があるからだろう。

「死んだ私に何か用でもあるんですか?」

それを聞いたリクは少しだけ目を見開いた。驚きだろうか?

「話が早いようで何よりだ。めんどくさいから単刀直入で言うけど、俺にお前の魂売ってくれない?」
「は?」

ーーこの人は何が言いたいのだろうか。