“黒薔薇”が現れた次の日は、その話題で持ちきりだ。

やられたら、無事では帰れない。

そんな噂まである。


「はよ、梨空。」


「おはよ、星樹(セイジュ)。」


高校2年生のあたし、黒城梨矩(クロキ リク)は、その噂の張本人。
知ってるのは、同じクラスの、この眞鍋星樹(マナベセイジュ)だけ。


「“黒薔薇”って、そんな悪い奴じゃねぇのに。なぁ?梨矩。」


「さぁ?どうだろうね。」