「………涼…ちゃん?」
さっきより強めに揺らしてみる。
それでも返事がないから軽く肩を叩いてみた。
…おかしいな。
涼ちゃん、寝起きはいいはずなのに。
じわじわと私を支配していく不安と嫌な予感から逃れたくて。
そんなはずはないって必死に否定したくて。
力いっぱい、彼の肩をゆする。
「涼ちゃん?…涼ちゃん!」
うるせえ、と怒鳴ってくれることを祈りながら、
声がかれてしまいそうなほどの大声を、何度も何度も繰り返し上げる。
ーーーーーーー返事は、ない。
「涼…ちゃん……」
17時はもう過ぎたよ。
もう、大丈夫だよ。
声をかけてみる。またゆさぶる。
ぐらりと力のない首が、物みたいに後ろに倒れた。
うるさいほどの動悸が胸を打つ。じりじりと足が自然に下がった。
―――――息、してない。
「…はは、
何それ」
乾いた笑いを喉から上げる。
やっと安全なルートを、正解を見つけたと思ったのに。
涼ちゃんは誰の所為でもなく、眠るように死んじゃった。
神様がずっと狙っていたかのように、静かに涼ちゃんの命は消えた。

