出しかけた言葉を、ほとんど無理やり飲み下させた。
私が黙ったのを確認してから、彼は爪で私の口元をはじく。
「…明日」
「明日、俺に返事返せ。
俺もあんなどさくさ紛れじゃなくて、ちゃんとこ、告白してーし…」
恥ずかしそうに耳を紅潮させながら声だけを小さくしていく涼ちゃん。
最後のほうはもはや聞き取れないくらいの小声だったけれど、私の耳にははっきりと届いた。
こらえきれなくなって、吹き出して。
なんだよ、とムキになる彼に「そうだね」と笑う。
オレンジ色の光が差し込み始めた部屋で、
私たちは二人座って寄り添っていた。
時計の時刻はあと2分。
今こうして眺めている間にも短針と長針が描く円は完成に近づいていく。
「カウントダウンなんてやめとこうぜ」
針の動きを無意識に目で追っていたのか、暖かな手で視界をふさがれる。
柔らかな肌がまつげをやさしくくすぐる。
「心地いい」とつぶやいて、私はそのまま瞼を閉じた。

