なぜ、もし。
もし、何故。
叶わない理想と現実を嘆く疑問が、涙になってあふれることなど、決してなかったのだろう。
悔しさと悲しさを何とかこらえて飲み込んでしまおう、と指を握りこんでこわばらせる。
そんな私の強がりもお見通しとでもいうように、涼ちゃんは空いているほうの左手でゆっくりそれを解いて自分の指に絡めた。
「…本当だから、話せ。
何言ったってお前を信じてやる。
そんでお前の抱え込んでるもんは俺も背負う。
昔からやってる事じゃねーか。」
優しい声音も、
私を安心させるようにわしゃわしゃと髪の毛を乱すそのしぐさも、
昔からちっとも変わらない、人を安心させる明るい笑顔も。
―――やっぱり涼ちゃんはすべてがずるい。
愛しさにつらさ、もうわけのわからない脳内。
ごちゃまぜの感情すら涙に代わって。
私は涼ちゃんの制服に縋り付いて、
声を上げて泣いた。

