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帰りのロングホームルームで返されたその日の英語の小テストは惨敗で。
バツしかついていない解答用紙には、溜息しか出てこない。
でかでかと赤でゼロと記された表記がまた憎らしかった。
そんな私の小テストを覗き込んだ涼ちゃんがげ、とでもいうように頬をひきつらせた。
「うわ、
七海お前…どうやったらんな点取れるんだよ?」
「その言葉そのまま返すよ。」
勉強苦手です、みたいな見た目してるくせに満点とか何なの。
まあ昔から涼ちゃんのほうが点数がいいのは当たり前のことで、今更驚きもしないわけだが。
「今日はお前んちで勉強会やんぞ。
さすがにその点数は許せねえ。」
「いや、なんで涼ちゃんに許してもらわなきゃなんないのさ?」
唐突に先生みたいにペンで私のテスト点をたたく涼ちゃんが、
今日の夜は地獄を見せてやるとでもいうように険しい顔で私に宣告する。
ぶーぶーと文句を垂れるふりをしながらも心はまるでそれの正反対。
勉強なんてしたくないけれど、涼ちゃんといれる口実ならばいつまででも机にかじりつける自信がある。
「じゃ、今日の7時にはとなり行くからな。」
「え、バスケ部って6時までじゃなかったっけ?」
「あ―…ちょっといろいろあんだよ。」
「何、いろいろって。」
「色々は色々だ。」
とにかく部屋居なかったらしばくぞと、こぶしを固める涼ちゃんにえーと顔を顰めてみる。
歪めた眉とは裏腹に、心の中は満面の笑みを浮かべてた。

