▼リセット。







力の入らない手で胸をなでおろせば、



おい、と涼ちゃんの口癖のような呼びかけが、私めがけて放たれる。





「七海、お前…



――――何があった?

何が「もう嫌」なんだ?」





『何かため込んでるなら早く言え。どんなことでも聞いてやるから』、と。









真剣な顔をして目をそらさない彼はいつものおふざけじゃない。








本気で私に怒っていて。







「……………涼ちゃんには関係ない。」







強い視線から逃れるように、私のほうから目をそらす。




どうせ信じてくれない。




たとえ信じてくれたとしても、ほぼ確実に当たる死の宣告を誰が聞きたいと思うだろうか。









それにもし、


涼ちゃんに話してしまうことで
何かまた間違いを犯してしまったら?


運命が変わってしまったら?






…なにより、




――――…もう、これ以上涼ちゃんに心配かけたくない。









「怖い夢見ただけだよ。



ごめん。


気持ち悪いとこ見せちゃって」







何時かにした言い訳を、この19日でもう一度繰り返す。




私の頭の中ではすでに、自分が引き起こしてしまった「学校に行かないパターン」の
解決策を出すためにぐるぐると回りだしていた。








…のに。