力の入らない手で胸をなでおろせば、
おい、と涼ちゃんの口癖のような呼びかけが、私めがけて放たれる。
「七海、お前…
――――何があった?
何が「もう嫌」なんだ?」
『何かため込んでるなら早く言え。どんなことでも聞いてやるから』、と。
真剣な顔をして目をそらさない彼はいつものおふざけじゃない。
本気で私に怒っていて。
「……………涼ちゃんには関係ない。」
強い視線から逃れるように、私のほうから目をそらす。
どうせ信じてくれない。
たとえ信じてくれたとしても、ほぼ確実に当たる死の宣告を誰が聞きたいと思うだろうか。
それにもし、
涼ちゃんに話してしまうことで
何かまた間違いを犯してしまったら?
運命が変わってしまったら?
…なにより、
――――…もう、これ以上涼ちゃんに心配かけたくない。
「怖い夢見ただけだよ。
ごめん。
気持ち悪いとこ見せちゃって」
何時かにした言い訳を、この19日でもう一度繰り返す。
私の頭の中ではすでに、自分が引き起こしてしまった「学校に行かないパターン」の
解決策を出すためにぐるぐると回りだしていた。
…のに。

