水が張った目を必死に凝らして声の主を探せば、
頬にバンソーコーを張り、
夏の名残かよく焼けた小麦色の肌がまず目に入る。
少し釣り目気味の目が印象的な如何にもやんちゃそうな男の子。
言葉にならないくらいしゃくりあげながら「うん」と一言だけ何とか会話を成立させる。
私の答えを受けて、少し悩むようなそぶりを見せた彼は唐突に。
小さな手を木の下で広げてこう言った。
「よし、お前。
猫をまず落とせ。」
「――――そんでその後お前が飛び降りろ!」
いきなり告げられたありえないとしか言いようがない作戦。
初対面でお前呼ばわりなのも大概といえば大概なのだが、そんなことなど気にする余裕もなかった。
さっきまで息が止まってしまうかと思うほどに泣いていたにもかかわらず、あれほどあふれていた涙は一瞬にして引っ込む。
泣くこともわすれてただただぎょっとした私の心情を知ってか知らずか。
その男の子はにかっと笑って。

