「………ぐ……っ」




「……ッ!?


七海!!?」









我慢できない吐き気に、私は枕に顔を押し付けて口を開いた。







ひゅーひゅーと掠れる乱れた呼吸が、布を通して耳を揺らす。







舌全体をマヒさせる酸の味と刺激は、



胃に何も入っていない空っぽな状態であることを顕著に示していて。








それでも何も出てこない代わりの内臓を絞り出すように


ただただ嘔吐く。





「大丈夫か」




状況が理解できていないながらも優しく背中をさすってくれる涼ちゃんに、








うまくできない息の合間、「大丈夫」と返事を返そうとした。




………けど、







その音は音にならずに吐息に消える。







大丈夫。



………大丈夫って、何?




涼ちゃんが何度も死んで、それを見てなきゃいけなくて、






何も食べ物を食べられなくなって、涙すら出なくなった。








なれたはずの作り笑いすら、できない。












―――――――…こんなの、大丈夫じゃない。