「オイ、起きろ。

いつまで寝てんだ。」



ピピピ、と耳障りな目覚ましの音。



徐々に大きくなってくる怒声に眉を顰める。



一度は目を開けかけたものの、眩しすぎる光りに臆して再度瞼を閉じた。



、と。



「早く起きろっつってんだこの馬鹿!

遅刻すんぞテメエ!」




「うごふっ!」



耳をつんざく怒鳴り声とともに、鋭い右ストレートが私の鳩尾を的確に突く。



えぐるような痛みに悶絶するとともに、
涙ににじんだ視界に映る、青筋を立てた幼馴染の姿。




「…おはよーございます涼ちゃん。

ドメスティックな愛が重いです。」



「何が愛だボケ。


俺渾身の怒りのパンチが軽いわけねーだろうが。


いいからとっとと着替えて支度しろ。」



「もう涼ちゃんったらツンデレ?

着替えみたいなら言ってくれたらいいのに。」




「もう一発食らいたいか?

七海の貧相な胸なんて誰が見てえと思うんだよ。」




かみ合わない会話の応酬大会。


最悪すぎる目覚めに幼馴染、もとい涼ちゃんの毒舌が突き刺さる。