もしくは死んだことはやはり本当で、これすら私の都合のいい夢なのか。
危惧して唇をかみしめれば、
焼けるような痛みがジワリと口元に走る。
そっと熱いそこを指先で拭えば、
赤茶けた血が掠れた模様を作って。
痛みを感じれば夢じゃないと言い切れるのか。
血が出れば現実なのか。
そんな疑心暗鬼の心情を、時間の無駄だと掻き消した。
これは、まぎれもない現実だ。
受け入れきれない心とは裏腹に、
現実としか言いようがないほど苦しい喉が、
焼けるような熱さを伴って震えるのを感じる。
あまりにリアルな水滴が、私の顔中をぐちゃぐちゃにしていく。
あの夢は、本当だったんだ。
言い聞かせるように心の中で繰り返して。
気付いたら私は、
「とにかく病院行くぞ。」と立ち上がろうとする涼ちゃんの、制服の裾をつかんでいた。
よほど強い力だったのか、ぐっと前に引っ張られながら、
涼ちゃんは驚いた顔で私を見る。
その顔すら切なくて、私は何度も首を振る。
「怖い夢見ただけだから。
大丈夫。
私は大丈夫。
もう落ち着いたよ。
……だから、」
次は死なせないから。
絶対に正しい選択をして見せるから。
心の中で強く決意を固めながら、震える声を押さえつけて懇願した。
「お願い、
もうどこにもいかないで。」

