▼リセット。



もしくは死んだことはやはり本当で、これすら私の都合のいい夢なのか。



危惧して唇をかみしめれば、



焼けるような痛みがジワリと口元に走る。



そっと熱いそこを指先で拭えば、



赤茶けた血が掠れた模様を作って。




痛みを感じれば夢じゃないと言い切れるのか。



血が出れば現実なのか。







そんな疑心暗鬼の心情を、時間の無駄だと掻き消した。




これは、まぎれもない現実だ。




受け入れきれない心とは裏腹に、




現実としか言いようがないほど苦しい喉が、



焼けるような熱さを伴って震えるのを感じる。




あまりにリアルな水滴が、私の顔中をぐちゃぐちゃにしていく。



あの夢は、本当だったんだ。




言い聞かせるように心の中で繰り返して。




気付いたら私は、



「とにかく病院行くぞ。」と立ち上がろうとする涼ちゃんの、制服の裾をつかんでいた。




よほど強い力だったのか、ぐっと前に引っ張られながら、




涼ちゃんは驚いた顔で私を見る。




その顔すら切なくて、私は何度も首を振る。




「怖い夢見ただけだから。


大丈夫。

私は大丈夫。
もう落ち着いたよ。


……だから、」





次は死なせないから。



絶対に正しい選択をして見せるから。




心の中で強く決意を固めながら、震える声を押さえつけて懇願した。






「お願い、




もうどこにもいかないで。」