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「おはよー」
「あ、おはよ」
2-3の教室の扉をくぐれば、みんなはやっぱり覚えている限り同じ位置で同じ話をしていて。
テレビのこと、
家族のこと、
趣味のこと、
面白かったこと、
恋の話。
「でさー、理子が吉田君のこと好きっていうから、こうしたらいいよってアドバイスしてあげたのにさ~」
他愛ない話をする友達の声に、久しぶりにまともに集中した。
「…あ、でも七海はいいよねー。
涼君っていう幼馴染がいて。
バスケ部時期エース、顔よし成績よし!狙う女は数知れず!
…それなのに脈ありありじゃん」
不意に回ってきたコイバナのお鉢。
力説とともに拗ねたふりをして机につっぶす友達に、ふふ、と笑い返した。
いつもなら「え、そんなことない!」と慌てて否定する私のそんな反応が物珍しかったのか「あれ?」と声をあげて私の顔をまじまじ見る。
そんな彼女の薄茶の瞳を見据えて、私はそっと口を開いて。
「うん。脈云々は置いといたとしても、
私は涼ちゃんと幼馴染でよかったよ。」
「ーーー私、涼ちゃん以上に好きになれる人なんていなかったと思うから」

