女子寮の風呂で見た黒い影

「そう何かあったら呼んでね」
先輩はドアに向かいながら、振り向きざまに、さらにこう言ったのです。
「自殺したのかと思ったわよ。趣味が悪いわよ、赤い色の入浴剤なんて」
サーッと血の気が引いていくのが、自分でもわかりました。
翌日、あわてて荷物をまとめ、私はとりあえず実家に帰りました。でも、心配をかけた先輩にだけは、そのことを打ち明けました。