産まれてからこの部屋にいるわけで、両親がどこにいるか何て分からない。



ただ覆面の男達に



『お前は、楠 志乃。俺達に逆らうことは許されない立場の人間だ』



と言われた。



私は楠 志乃で、逆らうことの許されない立場の人間。



そのことしか、私には分からない。



ガチャッ



「楠 志乃、餌の時間だ」



ドアから姿を現したのは、片手にご飯を持った覆面の男。



私の前にご飯を置き、部屋を出て行った。