「あー!ママの歌、流れてるー‼︎」

そう、声を上げるのは息子の莉空(りく)。

「ふふっ。そうね。でも、だいぶ前の曲よ?」

クスッと笑い言う私。

“あの日”から5年も経つのか…。

それに思わず、ふっと笑ってしまう。

そんな私を見て、莉空は可愛らしくキョトンとする。

ママ、変なのって感じだわ。

「ねぇ、ママ、僕に妹ができるってほんと?」

莉空が聞いてくる。

「それ、どこで聞いたの?」

そう、私が言うと。

「うーん…。あっ…パパだよ、ね!」

そう、莉空は私の隣にいるヤツを見上げる。

「ん。そうだ」

名前も決めてあるから。

そう言うヤツ。

おいおい。親バカか。

「どんな名前?」

「ん〜茉蒼(まお)」

「また、私たちの名前からとったの!?」

「ん、そうだけど?」

だから、なんなんだとでも言いたげな顔。

「茉莉花(まりか)…」

「ん?なぁに?」

「…愛してる。心も体もお前の全部」

「おい。…変態」

「その変態にさんざん鳴されてるのは誰だ?」

ひっ…、変態王子!!!!

「茉莉花は?」

「…私も蒼空(そら)のこと愛してるよ」

そう、私が言うと。

ーチュッー

蒼空が優しく微笑んで、甘ったるいキスを、落とした。