【短編】龍くんと南ちゃん




『オギャー!オギャー………』



「産まれましたよ。可愛い女の子です♪」





「よかったぁ……」



辛そうに息を切らしながらホッとしたように呟く南ちゃんの目にはうっすらと涙が…それを拭ってやって、そっと手をにぎる。



「ご苦労様」


感動と感謝で、込み上げてくるものを押さえようとして言葉に詰まる。ありきたりなことしか言えなくてもどかしい。




「ありがとう。いいタイミングだったでしょう?赤ちゃんも龍くんが来るの待ってたんだよ」

「へへっ、マジ?産まれる時から親孝行じゃん」






「片岡さん」


看護婦さんが、南ちゃんのお腹の上に赤ちゃんを乗せた。



「初めまして。私達の赤ちゃん♪」



不思議なもんで、既に母親の顔。
愛おしそうに見つめてる。そういう視線の対象はもう俺じゃないのがちょっと寂しいけどな………





「パパも抱いてあげてくださいな」




ヒョイと軽く渡された赤ん坊をおっかなびっくり抱くと…………



「ちっちぇっ!」




すっぽり抱いてもおつりがくる。初めて抱く我が子……感無量。




「初めまして♪パパだよ」


パパだって!この俺が父親になるなんてちょっと前まで想像もしてなかった。なんだかくすぐったい。



「龍くん、その娘につける名前教えて?」




男の子なら南ちゃんが、女の子なら俺が付ける予定だったから。




「へへっ、聞きたい?君の名前はね………」




腕の中の小さな娘に囁く。




「亜依ちゃんだよ☆片岡亜依」


「あいちゃんかぁ、いい名前だね♪」




南ちゃんも気に入ってくれたみたい。




南ちゃんの肩を抱きながら、亜依ちゃんの健やかな寝顔を見て改めて誓ったこと。

それは……


俺はこれから先、どんなことがあっても南ちゃんと、二人の愛の結晶の亜依ちゃんを守っていくからね☆




【END】