「せっかくの中学最後の夏休みに塾なんて最悪!」

唇を尖らせ私に話しかけるのは幼なじみの、斎藤 郁。


「だよな。親は勝手だよ。いい高校に入って立派になれって、俺たちは親のオモチャじゃねぇっての」

郁に合わせてそう言ったのは同じく幼なじみの高階 直哉。

「そうだよね…ほんとめんどくさい」

私は空を見ながら呟いた。

私の名前は青木初美。

中学3年生。

父は中学校の英語教諭、母は小学校の養護教諭。

そんな厳しい家庭で育てられた。


3つ上の姉 玲は美人でスポーツ万能で成績優秀。


何かにつけて姉と比べられるのが嫌で堪らなかった。

私は私。

それを認めて欲しかった。


でもそんな風に思ってくれる人は残念ながらいなかった。