私がその女をはじめて見た時

すでに女は水に半分身体を埋めていた。

女は渦の中にいた。


齢20になろうかという女は

様々な因果の渦の中にいた。


やがて水嵩は増していき

女の呼吸を容赦なく奪い

やがて、溺死させるだろう。



女はそれを望んでいた。

女の望みは死ぬことだった。

女は心中を望んでいた。



女は男を釣ることに長け。

心中をよく約束させたが

女の水の性に気付くと

男たちは皆、女から離れていき。

女の願いは未遂に終わっていた。



女はただ待つだけだ。

女を死に至らしめるほどの水嵩になるまで

ただ待つだけだ....