First Love ~初恋は幼なじみなんです~

──ピンポーン


インターホンの音が鳴り響く。


「亜華莉ー、太衣希君が来たわよー」


下から聞こえるお母さんの声。

私はサンバイザーとハンドバッグを掴むと、階段を駆け降りる。


「悪い、少し早かったか?」


玄関先には爽やかな笑みを浮かべて立つ太衣希がいた。


私よりも少し濃い色のフワフワした茶髪のクセっ毛が、風に揺れている。

男子にしては少し長めの髪だな...と、会う度に思う。

だけど太衣希にはこの長さが似合ってる。


「さすが太衣希。5分前行動じゃん」


からかう様に言うと、「遅くなって待たせるよりはマシだろ?」と笑顔で答える。

そんな彼の笑顔は無邪気で、すごく可愛くて。

私はその笑顔を見るだけで、鼓動が高鳴っていくのを感じる。


恥ずかしくなって太衣希からフイと顔を背けると、「どうした?」と言ってフワリと頭を撫でてくれる。



...こうやって太衣希は、いつも私を色んな形で気遣ってくれてる。



それは嬉しい、嬉しいんだけど...。