千豊季がお兄ちゃんと呼んだ彼は見るからに優しそうな好青年だった。



瞳瑠「この人が…千豊季のお兄さん…なの?」

千豊季「うん!そうだよ!!」

千紘「はじめまして!!2年の松原 千紘です!」



少し緊張していた私だったが、お兄さんの笑った顔を見ると緊張が解けた。



瞳瑠「二人共、凄く似てる…やっぱ兄妹なんですね。」

千紘「よく言われるよ。」

瞳瑠「…お兄さんは何部何ですか?」

千紘「何にもやってないけど、委員会ならやってるよ。図書委員会ね。」



等と話をしながら歩いた。
すると右から…



千豊季「お兄さん、じゃなくていいんだよー。後敬語も抜きにしなよ、ね!じゃないと堅苦しいし。」

瞳瑠「うん。じゃあ…千紘君って呼ぶね。」

千紘「うん、ありがと。」



そう言うと千紘君はニコッと笑った。

…か、カッコイイ……



千豊季「もぅ、やだなぁ!見てらんない!!私先に帰るからラブラブやっといてねー!」

瞳瑠「え?ちょ…!千豊季ッ!?」



千豊季は意地悪そうに笑いながら私と千紘君を置いて走って帰ってった。



千紘「行っちゃったな。何一人で興奮してんだか…」

瞳瑠「そう…だね。」

千紘「あんな妹と仲良くしてくれてありがとな。千豊季ったらいっつも瞳瑠の話してるよ。」



と、苦笑いしながら言った。

…ん、てか今…"瞳瑠"って呼ばれた…?

なんかいきなりドキドキしてきた…



千紘「!?どうしたの?固まってるけど…」



顔を覗かれ恥ずかしくなりそっぽを向いてしまった。



千紘「可愛いね。」



そう言う千紘君はなんだか距離が近い気がした。



千紘「あ、そうだ!家って何処?」

瞳瑠「え…あ、松原家よりも向こう…だよ。」

千紘「ん、送るよ。」

瞳瑠「え!?でも遠いよ!!」

千紘「遠いからこそだよ。」



千紘君の優しい笑顔をみて、反論できなくなってしまった。