そうしているうちに、紙袋を抱えた葵が帰って来た。

随分と遠くに出掛けていたらしい。

「知り合いの知り合いのやってもらった。急ぎの仕事だから、少し雑らしいけど」

差し出された紙袋の中には、洗濯され、綺麗に折り畳まれたあたしの制服が入っていた。

「これ…」

「あのまんまじゃ困るだろ、明日から」

よく見るとシャツのボタンまできちんと付いている。

「なんというか……お前らいい兄妹だよな…」

あたしはしみじみと、葵と夢香の似た顔を見比べた。二人は合わせたようにきょとんとした顔をしている。

「そろそろ遅いし、送っていくわ、梨羽さん」

「え、あ、ああ。じゃ制服に着替えようかな…」

「あら、駄目よ。その服よく似合っているのだから、着ていてくださらないと」

「え、でも…」

「差し上げるわ、私本当はそういう服好きじゃないの。だけどクローゼットには溜まる一方だから」

あたしは、助けを求めるように葵を見たが、葵は興味なさそうに、貰っておけばと答えた。

いや、そもそもあたしにこういう服は似合わないんじゃ…と言いたかったのだが、夢香が他の服まで持って来ようとするのを止めることしか出来なかった。