…確かにその時、俺は今が大切だと強く思ったんだ。

中学のときに人の温もりを勘違いした、あの夜。
きっとそれからの自分は、荒れていったんだろうと予想ができた。



大切だった人がもし仮にいたとしても、今、那がそばにいればいいと思ったんだ。




確実に俺の中で那は大きくなっていた。




無言で差し出した手を、また無言で握り返してくる小さな手。




俺の日常に欠かせないもののひとつとして、彼女がいた。