那を信じられない自分が黒く思えて、とてつもなくいやになった。 逃げ出したくなった。 なんでもないよ、と那を抱きしめて安心させてあげたいのに…無理だった。 志は一言ぽつりと吐いた。 「那のこと…信じていいんだよな?」 そして答えを待たぬままその場を離れた。 ドライヤーはそのままで。 そのドライヤーは、2人の心にあいた穴を広げる強い強い風のようだった。