嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?


なんでこの人はイチイチ思わせぶりな、含みをもった言い方なんだろう。

「相談に乗って貰いたいだけですよ。まだ正式に婚約したわけじゃないので摘まみ食いは我慢してます」

「こ、婚約の件は私は同意してませんので、全く気にしません! 紡さんも新さんも忘れてください」
「……欲が無いなんて素敵な女性ですね」
カフェに着くと、40分待ちのプラカードを持った一番後ろの列へ並びそのプラカードを受け取った。でも紡さんがそのプラカードを私からスルリと奪うと持ってくれた。
「ぷぷ」
「何がおかしいんですか?」
「だって、紡さんが『最後尾40分待ち』なんてプラカード持って立ってるなんて似合わなすぎて。副社長なのに、ぷぷ」
高級なスーツに時計に足元から完璧な紡さんが、何だか可愛らしく見えてしまう。
笑うのは失礼だと分かっているけれど、上手く我慢できない。
「緩奈さんは笑うと無垢で可愛いですね」
「無垢!?」
聞きなれない言葉に思わず鼻水が飛び出そうになった。

でもマイペースに紡さんは笑う。

「もっとこれからも、緩奈さんの笑顔が見たいですね」