事務に着くと、塚本さんと嬉しそうに迎えてくれた。

「OK。一時に副社長室へお茶ね。何人かしら。ベーグル買いに行こうと思ってたから、それでいい?」

「いえ。今から私が買ってきます。もうすぐ休憩ですし」

「俺も着いて行きますから大丈夫ですよ」
――へ?

その微笑みは確かに頼りになりそうだけども。

一階の受付の前を副社長と二人で通りたくないです。
「私一人で行ってきますのでどうか」
「君に拒否権はありません」

有無を言わさない迫力に思わず息を飲む。
紡さんはそんな人だ。
優しくて紳士的で、一見、いつも笑っているから新さんより頼りげがなさそうだけど――腹に一物もニ物も持ってそうな人。


案の定、受付の前を通る時ににこやかに送りだされたけれど笑顔が貼りついて作られたものだと分かって怖かった。滅茶苦茶怖かったです。

「オープンカフェですか。最近オープンしたから行列とかどうとか。俺、カフェを並んだことなんてないから」
「で、何が狙いなんです?」