んん?
どういう事、でしょうか?

意見が若干いつも相反していた気がする御二人が、今息もぴったりに私を見ていたような。

「魔法なんて必要ないのに、誰かに魔法をかけて貰おうとしている、嘘つきなお姫様ってところですかね」
「お前はいちいち言う事が恥ずかしいんだよ。胸焼けする。嘘つき、は否定しないが」
「あの、待って下さい、私は本当に素人で」
二人の会話に入ると、二人は王子様ルックスでこちらを見る。

一人は笑う。甘く誘うように。

「じゃあ魔法はかけないけど、俺だけのお姫様にしてしまおうかな」

全く隙のない笑顔で、本心なんて見えやしないのに。

「馬鹿か。そんな夢見てられないぐらい現実を叩きこんでやるよ。――俺の所に来い」

言う事は容赦ないのに、裏なんてなさそうな眩しい笑顔を向けてくれる。

私みたいな平凡な、契約社員なんかに本気で一緒に仕事をしてもらおうと?

それともお婆ちゃんとの約束を本当に守ろうと思っているのかな。

口には出さないけど。出すのは怖いけど。

二人は本当に私と結婚してもいいと思ってくれているのだろうか。