「脅してるのか口説いてるのか分からんから止めてやれ」
後ろから声がしたと同時に、紡さんが後ろへ引っ張られる。
不機嫌そうな新さんが欠伸をしながら、扉を開けた。
「で、お前が色合いを指定してたのは間違いないんだな?」
「……はい」
なんで其処まで追求されるのか分からなくて、躊躇したけれど頷く。
でも、私はたいそれた事は何一つしてないはずだ。
確かに内緒にしておこうと必死で隠してきた。
お婆ちゃんが『これ、薔薇なの。何色が良いと思う?』
と指差されて、画用紙に描かれたデザインを色塗りのように遊んだだけだもん。
それも最初に田舎に引っ越す事になって丹念に育てた薔薇達を手放す事になった時に私が肩薔薇のイラストと、3、4回だけ言われて色塗りしただけだ。
新さんに促され、後ろの紡さんに怯えつつ入った書斎には、壁に棚が作られていて、その棚の中にバッグや、ケースに入ったジュエリーが並んでいる。
その奥のアンティークの化粧台に、私がデザインしたハンカチとリップが置かれていた。



