「紅茶には砂糖を入れるか?」
新さんに対しては、全く動じずマイペースだし。
ベットが軋んで、紡さんがベットサイドに座って首を傾げる。
「まだ寝ぼけてる?」
「まだ、夢の中ですよね」
我ながら情けない声でそう言うと、紡さんが首を振る。
「塚本事務長が、君の住所が分からないと俺たちの家にやって来て四時過ぎかな? インターフォン何度も何度も押したんだけど覚えてる?」
「覚えていません」
覚えていなくても、塚本さんならやりかねない。
「泊めても良いけど少しぐらい味見をしようとベットに下ろしたら、新も帰って来て俺に怒鳴ったのも?」
「アレは誰でも驚くだろ」
アレ?
新さんが帰宅しなかったら私に何をするつもりだったんだろ。
「眠り姫を口づけで起こそうかなって」
兄弟揃って無理矢理キスしようとしたわけだ。危ない。
「ほら。砂糖三杯ずつ入れたぞ」
新さんはネクタイを外しただけの姿で、紅茶が入ったカップをみっつ、お盆に乗せてやってきた。
「ありがとうございます」
「久しぶりに、お前のせいで兄貴と寝たわ。でかいから邪魔で邪魔で」



