嘘つきシンデレラガールと二人の偽王子!?

その空気を打ち壊してくれるような、塚本さんがワインを片手に隣に座って来た。

「飲んでる!? 今日の主役!」
「飲んでますよ。塚本さんは大丈夫ですか?」
「大丈夫じゃないわ。飲み放題のワインの味が薄いの! 水で薄めてないかしら」
飲み放題にワインが入ってるのかと些か疑問ではあるけれど、周りを見回すと大分塚本さんと飲み騒いだのか皆、ぐったりして〆に取りかかっている。
その中で、顔色変えずに延々とお酒を飲む紡さんも凄い。
「せっかくだから、何か一発芸しなさいよ。抱負と共に!」
すっかり出来上がっている塚本さんが、座った目でしゃくり上げながら絡んでくる。
一発芸って、特にこれといって出来るものはないし、誰も見てないけど。

「じゃあ、おしぼりでひよこ作ります」
そう言っておしぼりを広げると、箸が転がってもおかしいぐらい酔っているのか塚本さんが両手を叩いてはしゃぎだす。

「残念ね。新さんにも来てねって誘ったのに。この時間ならもう間に合わないわね」
「まだ打ち合わせかかってるんですか?」
「さあ。でも定時で向こうを出てもどっちにしろ間に合わないわよ。向こうの本社は帰宅ラッシュで身動きできないエリアだし。あ、だから貴方を連れて行かなかったんだわ」
お茶をワインのようにゆらゆら揺らしながら、塚本さんが何気なく言う。


新さん、気を使ってくれていたんだと思うと申し訳ない。
なんだか――胸がじわりと温かくなった。