20時過ぎたビヤガーデンは、満員の大盛況で――中央ではサッカーの中継に皆が身を乗り出して見ている。
「遅かったわね。受付嬢達が貴方が残業するって言ってたのよ」
「あはは。でも副社長のおかげで早く終われました」
「うわ。今日帰国したの? もう少しあの子たちも待っていればお目当ての御曹司が来たのに。新さんが来るかもって粘ってたのよ」
あの四人も此処に来たんだ。あんな可愛い洋服に着替えて、こんなお酒や炭火、お肉や煙草の匂いがする中いるのは似合わない。それだけ――本気で御曹司を狙っていると言う事になるんだけど。
「ほらほら、食べた食べた。女子会コースにしたから、牡蠣やらエビやらヘルシーで美味しいのよ。副社長は、日本酒?」
「そうだね。日本酒は何がありますかね。もう芋のロックでも良いかな」
他の事務の先輩方が、副社長に緊張したり気を使ったりしている中、一人マイペースにネクタイを緩めだした。
「勝手にゆっくりするから、そんなに緊張しなくていいからさ、楽しんでくださいね」
「副社長、何か食べられますか?」
お酒のおつまみに何か取ろうとして、立ち上がった私の腕を副社長は捉える。
「紡さん、でしょ?」
「えっ でも、そんな」
「――紡さん、って言って」



