折り返しの階で、ふと外を見たらもう月が淡く光っていた。
隣のビルのビヤガーデンは、賑やかな灯りが此処まで降って来ていた。
頂上に着く頃にはきっもう時間は終わってしまっていると思う。
「何をしているんですか?」
エレベーターを待っていたら、優しい声でそう言われた。
「何で君がまだ残っているのですか?」
カツカツと革靴の音が響く中、颯爽と現れたのは――副社長だった。
「あ、なんで副社長が――」
「ただいま。先ほど日本に帰国したんだ。お土産も沢山買いましたよ」
にっこりほほ笑む副社長からは、海外から帰国した様子が微塵も感じられなかった。
カバンさえ持っていないので、今仕事を終えて帰るみたい。
「で、君がなんでまだ残っているんですか、緩奈さん」
「宛先が分からない荷物の届け先を聞き回っていて、こんな時間になってしまいました」
「宛先が分からない?」
副社長は屈んで荷物を隅々まで見た後、ゆっくりと姿勢を戻した。
「これは、新へ俺が送ったものですね」



