「おい、ボタン押してないぞ」
エレベーターの前でボーっとしてたら、長い腕が伸びて上の階用のボタンを押す。
「?」
俯いたままの私の頭に、ずっしりと重い紙袋を乗せた。
「重いです」
「今日のご飯はソレだ。また交換な」
頭の上の紙袋と開けると、美味しそうなハンバーガーが入っている。チェーン店のではなくカフェオリジナルのようだ。
「美味しそう」
「美味しいに決まってるだろ。近くの気に入ってるカフェのだ。テイクアウトして貰ってきた。お前の今日のメニューは?」
「……茶色いお弁当です」
そう答えると、ぶはっと噴き出された。
「じゃあ、それでも貰おうかな。寄こせ」
エレベーターが降りてきたので乗り込んだけれど、ドアが閉まる瞬間に受付の二人が此方を睨んでいたのが見えた。隣に並ぶだけでも睨まれるなんて。
思わず新さんを見上げる。
「何だ?」
「いえ。別に」
この人に見初められるってだけで女の子はお姫様になれるんだ。



