未だに自分の置かれている状況に自覚を持てなくて、資料をファイルしていってもポカンと口が開いてしまいそうになる。
そのタイミングで、新さんは別の企画のデザインの納付が今日までらしく、自分の本来のデザイン企画部の方へ顔を出しに行った。
「いいか。昼までには戻るからな、何が食べたいか?」
それって今日も私のお弁当を食べたいってことだと思うとちょっとだけ胸がドキドキしてしまった。こんな私の料理を――でもちょっとだけ今日は頑張ったし。
一旦仕事に区切りをつけて、事務へお菓子のお裾わけに向かおうと、事務の皆は高級な差し入れに大喜びだった。
「林田さんねぇ。企画は流れてしまったけどもしかして本当に副社長と恋仲なのかしら」
塚本さんがそんな無粋を思い描いてしまうほど、やはり彼女は有名なんだ。
事務の方は、九月に予定されている秋冬の新作発表会の準備に取り掛かっていたけれどまだまだ時間があるせいかのんびりに感じられた。
いいな。やっぱり雑用ばかりとは言っても、一番事務が私に向いている気がする。
あのオシャレな螺旋階段を上って帰らなきゃいけないのに、トイレに入ると立ち上がる気力が湧かなかった。
「えええ。今日も新さん、ランチに行かれないの?」



