どうやら、副社長へいきなりの訪問に来たみたいだけど。
「あの、副社長なら朝には海外へ向かわれましたよ」
「え?」
ふんわりと此方を向くと、上品な香水の匂いがした。
「2、3日は帰らないと思うって新さんも言ってました」
「新くんが? 貴方、紡くんの秘書か何かですか?」
受付から身をひるがえすと、その美女は私をロックオンしたのか詰め寄ってくる。
「いえ、私は今、新さんの仕事の手伝いをーー」
「不破、林田」
私と美女の名前を呼びながら近づいてくるのは、新さんだった。
「お疲れ様です」
受付嬢達の顔に、すぐに可愛い笑顔が貼りつけられたのは驚いたけれど、新さんは見もしないで美女を見ると溜息を吐く。
「仕事場に来るとか、お前も本当に空気読めないな」
「だって、昨日の父のお詫びをしなくっちゃって居ても経ってもいられなくて。二人で昨日、父を追い払ったんでしょ? ごめんなさい」
深々と頭を下げる美女に対して、新さんは何故か私を見てから首を触る。
「や、昨日、こいつを助けたのは俺だから」



