定時の六時まで結局資料整理に掛ってしまった。
タイムカードを押しに事務に戻ると、塚本さんが飛びついてきて、ディスクの上に置いてあった卓上カレンダーの花丸が描かれた金曜日を指差す。
「貴方の歓迎会、隣のビルのビヤガーデンでするから!」
「ありがとうございます。楽しみです」
本当に開催してくれるんだ。
しかも女子が多い事務の皆に合わせて、女子会コースのビヤガーデンらしい。
塚本さんに癒されながらも、一階に下りると受付の所で言い争うのが見えた。
定時で帰りたくて、接客が明らかに適当になっている受付の二人が、不機嫌そうに誰かを睨みつけていた。
「ですから、アポなしの来客はお断りしています」
「私の名前を出せば、紡くんも来てくれます。電話が繋がらないから急がなきゃ、海外に飛ぶかもしれない」
受付で食い下がっているのは、透き通るような白い肌の女性だった。
紺のワンピースに、金色のベルトが大人っぽくて、腰なんて折れそうなほど細くて。
ハニ―ブラウンのふんわりとパーマが当てられた髪が、ゆらゆらとなびいているけど、そこから覗く顔は、私の半分しかないんじゃないかと思うぐらい小さな顔。
絵本の中から飛び出してきたような、お姫様みたいに綺麗な人だった。



