「映画のシンデレラのタイアップ作品を作るんだ。簡単に言うと、映画中のシンデレラが身につけるジュエリーのデザインを全部俺がする」
「えええ!?」
「で、今度はそれをウチのブランドとして売る作品に作りなおす。一千万するジュエリーなんて若い女性向けブランドの『TEIARA』に向かないから」

一千万……。
映画とタイアップなのに、緊張した様子もなく平然と説明している新さんにも驚いた。
「で、私は何をすればいいですか?」
「まずは仕事を覚えてもらうかな。その後は雑用ばっかだけで、――お前ならすぐに芽を出すと思うしな」

芽を出す?
取り合えず言われたとおりに資料整理を始める。
色んなお姫様のドレスやらジュエリーの写真ばかりで、ファイルするのが楽しいぐらいだ。

でも片やずっと離れた場所で仕事している副社長に、片やスケッチブックに落書きばかりしているデザイナーの新さん。

この部屋にこの二人と私しか居ないってちょっと変な気がする。