頑張ってね?
その言葉が不安で堪らなくなる日が来るとは思わなかった。

ハイヒールの音を立てながら螺旋階段を上る。
白を基調としたオシャレな階段で、何故か階段のあちこちがキラキラしている。
登ると、白い扉が見えた。まさか、副社長室って毎回この螺旋階段を登らなきゃいけないのかしら?

ノックすると、『どうぞ』と声がしたので恐る恐る覗く様に中へ入った。

「おはようございます。宜しくお願いします」

「おはよう。どうぞ、ゆっくりしていってね」

副社長室と言ったから緊張したのに、中はホワイトボートやディスクが並んでいる。

普通の部署みたい。

「悪いけど俺はこっちの仕事をするから、説明は全部新から聞いて下さいね」
そう言うと、再びディスクの前でパソコンを見ながら作業へ戻った。

「こっちこっち」

スーツのネクタイを緩めながら、新さんが手招きしてくる。