「取り合えず、事務からさっさと配属先変えるかな」
「な、なんの話ですか?」
「お前の話だろ。今度のプロジェクトチームに入ってもらって、俺の助手やらせる」
ミラー越しに睨まれて動けなくなった私に、振り返って副社長が優しく噛み砕いて笑う。

「詳しくは明日話すけど、君を契約から正社員にするには、さっさとプロジェクトに参加させて実績を作る方が良いかなって」
「そ、そうなんですね。でも事務、、この一週間楽しかったから配属先が変わるなんてちょっと寂しいです」
塚本さんの言っていた歓迎会が頭を過り、胸が切なくなる。
「でも、しかたねーだろ。林田のとこの雑誌の企画、多分潰しちまったから、ここで挽回しなきゃいけねーんだ」

二人は煙草を自然に手に取りだしたけど私が居るのを思い出し各々のポケットへ戻す。
別に吸ってもいいのだけれど、さっきから圧倒され過ぎてうまく喋れないのが本当だったりする。

「あの、林田さんの企画が潰れたのって私が騒ぎを起こしたからですか?」