「で、も」
「でもじゃねーよ。お前がまだ自覚してないだけで、お前の才能だけは俺は買ってやってんだろ!」
「才能って、私には新さんみたいな、この会社の為になる才能はありません」
手をあわあわしながら言い返すと、ソレを眺めていた副社長がクスクスと笑いだした。
「君、それって演技? だって君が理恵子さんのお孫さんで、理恵子さんの為にデザインしたバラの花、あれが才能がない人が描けるかな?」
後ろの席のドアを開けると、私を覗きこむように笑う。
「俺らは君が本当に努力しても宝石にならない石ころなら、婚約なんて話飲まないよ」
「……」
優しい言い方なのに、ちくちくと刺さるような刺を感じるのはきっと気のせいじゃないと思う。
「ごめんね、こんなところで話させて。乗ろう?」
不毛なやりとりを副社長が収めてくれると、そのまま車に乗り込んだ。
副社長は助手席に乗ると、それ以上は話してくれなかった。
――九年前に副社長が学生なら、新さんは高校生ぐらいかもしれない。
なんでお婆ちゃんはこの人達に会社を立ち上げる資金なんて提供したんだろう。
どんな繋がり?