「あの、ひ、一人で帰れます」
「駄目だよ。もう魔法が溶ける時間なんだから、一人で帰すわけにはいけません」
「遠慮もしすぎるとウザいだけだぞ。さっさと乗れ。終電もないし、ここもホテル側から御厚意で借りてるんだから」
どうしよう。
多分二人とも言いたいことは一緒なんだろうけど、甘やかしすぎてる言葉ときつすぎる言葉に、対応が分からない。
中間をお願いします。
連れ去られる宇宙人のごとく逃げられないように二人の真ん中で歩きながら、空をぼんやりと眺める。
キラキラと輝く星は綺麗だけど、―――今、まだ私が頭に飾っているジュエリーの方が綺麗だと思ってしまう。
「あの、副社長、これ」
頭の髪飾りを取ろうとすると、その手を優しく止められた。
「いいよ。それは君のものだ。君に渡そうと思っていたものだからね」
「ああ、やっぱそれは兄貴の仕業か。『TEIARA』が初めて作った作品だ」



