「資金は何度もお返しすると伝えたのですが、理恵子さんは頑なに断って。だから俺達は君の家に花や贈り物をしていたのだけれど、先日やっと九年前の約束が果たせそうだと思いましてね」
「九年前?」
「アンタと俺らのどっちかが結婚してくれたら嬉しいってな。孫は引っ込み思案で自分の持っているものを良く分かっていない、導いてくれる相手が欲しいと」
「いやいややいやいやいや、おかいいですよね? お二人ともモテそうなのにそんな恩師のお願いだからって私と婚約なんておかしすぎますからね。なんでそんな落ち付いて話してるんですか!?」
一人慌てる私に対して、二人は顔を見合わせると首を傾げあう。
そんな仲良しな様子なんて別に見たくもないけど!
「理恵子さんが貴方を素敵な女性と言っていたのだから、俺らは疑いませんよ。それに貴方をよく知る為にも婚約ぐらいしてからの方が誠実かなって」



